◇労働保険年度更新と算定基礎届の提出について
労働保険の年度更新は毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を年度単位として保険料を計算し、前年度分の保険料清算と今年度分の保険料を概算計算し、申告納付する制度となっております。対象者は労災保険であれば、すべての労働者(パート、アルバイト、日雇い等も含む)が対象となります。こちらの申告期限が7月10日となっております。申告のない場合は督促の他、延滞保険料等がかかる場合があります。今年度の申告は、新型コロナ影響による財政の圧迫から、雇用保険料率の改定が2回実施されている影響により、保険料計算が例年に比べるとかなり複雑となっておりました。まだ未計算、未提出の場合は早めの申告を忘れずにお願い致します。

7月1日現在在籍されている全ての健康保険、厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被扶養者が対象となる算定基礎届の提出期限も労働保険年度更新と同様7月10日が提出期限となっております。こちらは、4月、5月、6月に支払った給与総額の平均額に応じて、今後1年間の社会保険料計算の基礎とする標準報酬を決定する制度となっております。
上記、労働保険年度更新と併せて申告提出がお済みかどうかのご確認、まだ未計算、未提出でしたら早めの申告提出をお願い致します。まだ未提出の場合やご不明点等ございましたら、お気軽にご相談ください。



◇在職老齢年金の支給停止調整額が変更
 60歳以降に在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金(以下、在職老齢年金)は、賃金と年金額に応じて老齢厚生年金の年金額の一部または全部が支給停止される場合があります。この老齢厚生年金の支給停止額の計算に用いられる在職老齢年金の支給停止調整額が令和5年度は、47万円から48万円に改定されました。
 また、令和4年4月から60歳以上65歳未満の方の在職老齢年金については、年金の支給が停止される基準が見直され、65歳以上の在職老齢年金と同じ基準に緩和されております。(現在は28万円から48万円に変更)



◇月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げに伴う随時改定について
令和5年4月より、月60時間超の時間外労働に対し割増率賃金率が25%から50%に引き上げられる改正が中小企業においても適用が開始されております。この月60時間超の時間外労働が発生した場合に、社会保険(健康保険・厚生年金保険)において、給与の支給単価(支給割合)が変更したとみなされ、随時改定による社会保険料の変更(月額変更)の要件となる可能性があります。
 60時間超の時間外労働が発生した場合の随時改定の対象となるのは以下の全ての要件に該当する方となります。
@制度が適用開始された4月から6月の3か月間の支給された給与のうちで、1ヵ月でも60時間超の割増賃金が支給されていること
A従前の標準報酬月額と比較して、4月、5月、6月の3か月間の平均をとった報酬額を標準報酬月額等級表に当てはめた等級との間に2等級以上の差が生じていること
B各月の賃金計算の基礎となる賃金支払基礎日数が4月、5月、6月のいずれの月も17日以上であること
随時改定の対象となられる方がいる場合には、被保険者標準報酬月額変更届の提出が必要となります。また4月は各交通機関のバリアフリー化による交通運賃の値上げによる通勤費の改定も行われておりますので、併せて随時改定の対象とならないかの確認をお願い致します。



◇令和5年度の年金額変更
令和5年については、対前年と比較し、物価変動率と名目手取り賃金変動率が共にプラス変動している事により、国民年金部分である基礎年金の年金額が増額改定となっております。

項目 年金額
(単位:円)
老齢基礎年金(満額) 795,000
障害基礎年金(1級) 993,750
障害基礎年金(2級) 795,000
遺族基礎年金 795,000