芸能法人の報酬等の源泉徴収制度の廃止

　平成15年度の税制改正で、芸能法人が支払を受ける芸能人の役務の提供に関する報酬またはあっせん料等に対する源泉徴収制度を廃止することになりました。この改正は、芸能法人が平成15年4月1日以後に支払を受ける報酬または料金について適用されます。つまり、これまで手取で100,000円と契約したときは源泉税込みで111,111円の売上となるところ、この改正で売上が手取の100,000円となります。

芸能法人とは

　芸能法人とは、芸能人等の役務提供を主たる内容とする事業を行う法人で、いわゆる芸能プロダクションや劇団、楽団、映画会社、放送会社、レコード会社、広告代理店などが該当します。

芸能人の出演先との契約パターン

　１．芸能人と芸能法人の両者が出演先と各々出演料及びあっせん料等の役務提供に係る契約を締結し、それぞれが報酬等を受取る。
　２．芸能法人が出演先と出演に係る一切の契約を締結し、芸能人に報酬等を支払う。
　３．芸能人が出演先と出演料等の契約を締結し、当該芸能人から芸能法人に対してあっせん料を支払う。

改正前は

　芸能法人に、芸能人の出演料や出演のあっせん料などを支払う場合には、その出演料などから所得税の源泉徴収をすることになっていました（上記１，２の場合）。したがって、法人の確定申告によって、源泉税が還付されるまで結果的に税金の前払いをするという一般企業にはない課税方法がとられていました。ただし、その芸能法人が、税務署長から交付を受けた源泉徴収免除の証明書をその支払を受ける際に提示したときは、有効期間内であれば、源泉徴収する必要はないというものでした。

芸能人に支払われる出演料等について

　芸能人（個人）に対する報酬について改正はなく、上記１，２の場合に受け取る報酬は従来どおり、源泉徴収されることになります。この場合の源泉所得税の税率は、1回の支払金額が100万円以下のときは10％、100万円超のときは20％です。なお、3の場合、芸能法人に支払う報酬については、従来から源泉徴収は不要です。
　以上、芸能法人と芸能人へ支払う報酬等の取り扱いが、異なることになりましたので注意が必要です。