今もなお、全米で1日2500体も売れ続けている人形があります。「アメリカンドール・エミリー」です。身長38センチで価格は92ドル(日本円で約1万円)です。(ちなみにバービー人形は19.99ドル)
その売れている秘密は、セット販売されている「絵本」にあります。そのストーリーは以下のとおり。
「1940年、英国生まれ。幼い頃に、第二次世界大戦が始まり、両親が彼女の将来を心配し、彼女一人をアメリカの叔母の家に預けることを決心。心細い気持ちを我慢し、たった一人でアメリカ行きの船に乗り、やっとの思いでたどり着きました。叔母さんの家での生活は、英国との文化(食べ物、着る物、住宅事情、習慣など)とあまりにも違い困惑する毎日です。しかし彼女は明るく元気に学校へ通い、友達を作り、当時のあらゆる苦難を乗り越えて、たくましく生きていく…」
子供は人形をいつの間にか自分の分身として捉え、親は人形を子供の良き教師と思うのです。
「エミリー人形」に付いている「絵本」には、本当の歴史背景が余すところなく描写されています。
また、絵本にはその他にも文化、しつけ、思いやり、友達、家族というテーマが詰まっています。人形を通じて子供はあらゆることを学ぶのです。つまり親は子供の「教育」を期待してこの「エミリーちゃん人形」を買っているのです。
もはや付加価値を超えた付加価値ですね。