経済学では人は合理的であり、直面する問題について最善の行動をとっていると考えています。しかし、実際には予想を超える不合理な行動が目撃されています。
経済紙「エコノミスト」のウェブサイトに次のような広告があったそうです。
(1)ウェブ版の年間購読料:59ドル
(2)印刷版の年間購読料:125ドル
(3)印刷版とウェブ版の年間購読料:125ドル ここで注目すべきは、(2)と(3)の料金が同額であること。(2)の印刷版だけと、(3)の印刷版とウェブ版の値段が同じであるならば、だれが(2)の印刷版だけを選ぶでしょうか?
この真理を利用して、この広告では、(1)のウェブ版だけの購読を選ばせずに、もっと高い(3)の印刷版とウェブ版のセットを選ばせるように仕組んでいます。
このマーケティング担当者は、「人間は物事を絶対的な基準で決めることはまずない、他のものと比較して相対的な優劣に着目して判断をする」ということを知っていたのです。
(1)のウェブ版と(2)の印刷版のどちらを選べば良いのかは考えないと決められません。そこで彼は頭を悩ませないで済むようにしてくれたのです。(2)の印刷版だけと比べた途端、(3)のセット購読は超お得に見えていたのです。 このように我々は身の回りのものを常に他のものとの関係で捉えています。すなわち、「相対性」で選択する。そうせずにはいられないのです。 皆さん、この相対性の真理、使いませんか?