みなさんLLPをご存知でしょうか。昨年８月に法律が施行されて以来、新聞や雑誌で見る機会が多いと思いますが、会社法の施行に伴いLLP法も一部改正になっております。LLPとは何でしょうか？

　正式名称を｢有限責任事業組合｣といい、民法上の任意組合契約の特例としての位置づけになります。民法上の組合と何が違うのかというと、民法上の組合員が無限責任であるのに対してLLPは有限責任であり、株式会社の株主と同じで組合員の金銭的な責任は出資額の範囲に限定されます。

　　民法上の組合のいいところを引き継いでいるのは「パススルー課税」が使えるということです。法人でも個人でも組合員になることができますがLLP自身は組合であり法人格を有しないため、事業体そのものには法人税を課税せず、その組合員に対し法人税又は所得税を課税するため、事業体と組合員の二重課税を避けられるという効果があります。
　また組合契約を登記できるので、謄本をとることができ、民法組合よりも社会的信頼があります。
　反面、法人格を有しないということで、不利なこともあります。LLPは法律上の権利主体になることができず、LLP自体では、資産・権利を保有することはできないため、もし保有する場合はその組合員が合有で保有する形になります。不動産登記などの場合には組合員全員の名前で共有登記することになります。

　全組合員が業務執行にあたらなければならず、意思決定も全員の同意が必要であるという不都合さはありますが、損益の分配に関しては必ずしも出資割合と同じにする必要はなく、合理的な範囲で分配割合を自由に設定することができます。今後、人的資産集約型産業を中心に新たな事業体として経済の発展のために大きな期待が寄せられています。