平成18年税制改正の目玉の一つである『特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入』(本ニュース2月号既報)について、その詳細が明らかになってきました。
業務主宰役員グループ(会社の経営に最も中心的に関わっている役員及びその関連者(親族等))が株式の90%以上を有し、かつ、常務に従事する役員のうち、業務主宰役員と業務主宰役員関連者の数が50%超の場合に該当します。 その対策として、第三者(従業員等)に株式を所有してもらう、もしくは常勤役員を増員することが考えられますが、実際には特殊支配同族会社の判定にあたって厳しい条件が付いてきます。
友人等の第三者に株式を持ってもらう場合、同族株主の意思と同一の議決権を行使することに同意している株主は同族株主とみなすとされています。このため、株式保有割合を90%未満に引き下げるためだけに株式の移動を行っても、実際に議決権は異動していないと判定されます。第三者が株式を持つ合理的な理由が求められることとなります。
次に、同族以外の常勤役員の増員についてですが、先ず常勤監査役は該当しません。監査役の権限はあくまでも取締役に対する監査権限を有しているだけで、経営に関する権限はないためです。したがって、第三者が監査役に就任している(就任させる)としても、特殊支配同族会社の判定に影響を与えません。 他方、使用人兼務役員は実態判断によるところですが、同族会社においては常務に従事する役員には該当しない模様です。これは、実際には取締役会等の採決に参加するだけのことがほとんどで、日常継続的に経営に参加していないと考えられるためです。つまり、特殊支配同族会社の判定を回避するために使用人を形だけ兼務役員として昇進させたとしても、常務に従事する役員とは認められないことになります。
一方で、相談役や顧問などの肩書を持つ人物でも、普段から継続的に経営に関わっていれば、常務に従事する役員に該当することとなるようです。例えば息子にオーナーの座を譲って顧問という肩書になった人物が、経営に頻繁に関与している場合には業務主宰役員関連者に該当するといえます。さらに、持株割合で判定されるみなし役員も該当するので注意が必要です。 ※詳しくは各担当者までお訊ね下さい。