バングラデシュにグラミン銀行があります。同行は83年にムハマド・ユヌス氏によって設立され、06年にはノーベル平和賞を受賞しています。
ユヌス氏の前職はバングラデシュにあるチッタゴン大学の経済学を教える教授でした。しかし、74年の大洪水と飢饉をきっかけに、世界の見方が変わったそうです。それは、人々が飢えて路上で死んでいる時に、どんなに素晴らしい経済理論を教えていてもそれが何の役に立つのだろうか?と感じたからです。
それから2年間、彼はチッタゴン郊外にある村を訪ね、村人たちを師として学び、そこで「これだ!」と思いついたそうです。
竹のイスを作る女性を訪問した時、その女性は材料の竹を買うのに15タカ(1タカ=0.6円)を借りなければならず、借金を返して仲買人に手数料を支払うと、手元には1タカしか残らないことを知りました。他の村人も同じような窮地に立たされています。彼らは、借金をしなくても済むほどには働けず、劣悪な借金のサイクルから抜け出せないでいるのです。
彼はマイクロファイナンス(貧困者に対する少額の融資)を私費で始めました。ローンの担保を取らない代わりにグループに資金を貸す、という手法でローンを返済することに対し、周囲から圧力が生まれることを考えました 以来、600万人の顧客に約60憶ドルを融資し、返済率は99%だそうです。
ここで、彼のマネジメントについて検証します。
(1)使命:貧困なき世界をつくる
(2)ビジョン:貧困を博物館へ(貧困は博物館でしか見られないようにする)
(3)顧客:最も底辺部にいる25%の人々。原則的に女性(特に母親)
成果:最も底辺部にいる25%の人々の生活の質を向上させる です。